てんかんは医療大麻による治療で最も効果が期待できる疾患といっても過言ではありません。世界でも多くの事例が出ていて、各国における臨床実験も進んでいます。今回はてんかんと医療大麻について詳しくお伝えします。
医療大麻がてんかんに効果的といわれる理由
CBDをはじめとする大麻由来の製品がてんかん治療に有効といわれる理由の一つが、脳に存在するカンナビノイド受容体への影響にあるといわれています。
カンナビノイド受容体は中核神経に集中的に存在していて、CBDと結びつくことで抗てんかん作用が期待できるのだそうです。
てんかんにはさまざまな種類がありますが、最も多いのは“内側側頭葉てんかん”です。内側側頭葉てんかんは、記憶や感情をつかさどる脳の一部“海馬”の細胞異常で海馬が硬化することによって発症します。
そして、周辺細胞が興奮状態に陥ると発作やけいれんが起こるそう。
内側側頭葉てんかんを患ったマウスに対し、CBDを含むカンナビノイドを投与したところ、海馬細胞が保護され、けいれんの原因となる異常細胞の活性が弱まったという実験結果がでています。
詳しい事例などについては次の項目も参考にしてください。
てんかんが治った事例も?!

アメリカでCBDが爆発的ヒットしたきっかけとなった難治性てんかんを患う少女・シャーロットちゃんも、大麻由来の製品によっててんかんを克服した一人です。
週に300回、一時間に2回以上の発作に苦しむわずか二歳のシャーロットちゃん。さまざまな化学薬品を投与してんかん治療をおこなっていました。でも効果は出ないばかりか副作用に苦しめられ、歩行や食事すら困難になってしまいました。
そんなときに医療大麻によるてんかん治療をスタートしたところ、発作がピタリと収まったのだそうです。
当時医療大麻が認められている州が少なかったアメリカですが、難治性てんかんに苦しむ患者さんやその家族が移住してきたといわれるほど。
このように、小さな体でてんかんの発作に苦しむ子供たちが、医療大麻によって症状が劇的に改善されたという事例は世界に多く存在しているのです。
医療大麻がてんかんの標準治療になる?

現在てんかん治療に用いられている抗てんかん治療薬は、発作の頻度やつらさを軽減するもので、根本を治療するものではありません。また強い化学薬品のため、ひどい副作用があるにも関わらず、3人に1人の割合で効果が得られていないそうです。
その点、医療大麻による治療では劇的な変化を得られる患者さんがいます。
もちろん、医療大麻で効果が得られなかった患者さんも中にはいますが、改善された実例の方が多く、また副作用が少ない天然成分というところも利点です。
過去数十年の研究で数十種類を治療薬が開発されているにも関わらず、患者数は減少していません。そうした現状を含め、CBDやカンナビノイドを利用する医療大麻には大きな期待が寄せられているのです。
まとめ
実際にイギリスで開発されたエピディオレックスという大麻由来のてんかん治療薬は、諸外国で保険適応の処方薬として認められ始めています。
日本でも、日本てんかん協会がこの薬の臨床実験を厚生労働省に要請中とのこと。近い将来、国内初の医療大麻が認められる日が来るかもしれませんね。